立冬
一年を24に分けて季節を表す二十四節気の一つが立冬です。
立冬は、立春、立夏、立秋と並んで季節の大きな節目を示します。
例年、11月7日頃が立冬となり、冬が始まります。
二十四節気では立冬の次は11月23日の小雪(しょうせつ)」です。
鍋の日
食品メーカー・ヤマキが制定。
この日が立冬になることが多いことから。
もつ鍋の日
社団法人日本畜産副産物協会が2011年に制定。
この日が立冬になることが多いことと、「い(1)い(1)もつな(7)べ」の語呂合せ。
知恵の日
朝日新聞社が1988(昭和63)年、『朝日現代用語 知恵蔵』発刊の時に制定。
今日の昔話
むかしむかし、空海(くうかい)と言う名前のお坊さんが、一軒の貧しい家の戸をたたきました。
「すまんが、宿(やど)が見つからないでこまっておる。今夜一晩、泊めてくだされ」
すると中から、おばあさんが出てきて言いました。
「それは、お気の毒に。こんなところでよかったら、さあどうぞ」
おばあさんはお坊さんをいろりのふちに座らせると、おわんにお湯を入れて出しました。
「はずかしながら、食べる物もなくてのう。せめて、このお湯でも飲んでくだされ。体が、温まりますから」
お坊さんは両手でおわんをかかえるようにして、お湯を飲みました。
冷えきった体が、どんどん温まってきます。
「ありがとう。まるで、生き返ったようだ」
お坊さんが礼を言うと、おばあさんは申し訳なさそうに頭を下げました。
「明日の朝はきっと、何か作りますから」
するとお坊さんは、ふところからお米を三粒出して言いました。
「すまんが、これでおかゆを煮てくれ」
「へええ、これでおかゆを・・・」
おばあさんはビックリしましたが、言われたようになべに三粒のお米を入れてぐつぐつと煮込みました。
すると、どうでしょう。
なべの中から、たちまちおいしいおかゆがあふれ出たのです。
「さあ、おばあさんも一緒に食ベなされ」
そのおかゆの、おいしい事。
こんなにおいしいおかゆを食べたのは、生まれてはじめてです
「ありがたや、ありがたや」
おばあさんは、涙を流して喜びました。
「おいしいおかゆを、ありがとうございました。きたないふとんですが、ここでやすんでください」
おばあさんは自分のふとんにお坊さんを寝かせて、自分はわらの中で寝ました。
次の朝早く、お坊さんは、おばあさんを起こさないように起き出すと、ふところからまたお米を三粒出して、空っぽの米びつの中ヘ入れました。
「おばあさん、いつまでも元気でいておくれ」
お坊さんがそう言って家を出ようとしたら、おばあさんがあわてて起きてきて言いました。
「お坊さん、待ってください。今から、イモの葉っぱで汁をつくりますから」
「ありがとう。でもわたしは、もう出かけなくてはいけない。あとで、米びつを開けてみなさい」
お坊さんはそう言うと、おばあさんの家を出ていきました。
「お坊さん、また来てください」
おばあさんは去っていくお坊さんに向かって、そっと手を合わせました。
「そう言えば、米びつを開けろと言っていたが」
家に入ったおばあさんが米びつを開けてみると、空っぽのはずの米びつに、お米がびっしり入っているではありませんか。
そしてそのお米は不思議なことに、毎日食べても少しもなくならないのです。
おばあさんはこのお米のおかげで、いつまでも元気に暮らしたということです。
今日の雑学
さて、今日は立冬ですが、毎年この頃になると、「木枯らし1号」が観測されるようになります(ちなみに2016年は10/29でした。)
ところでこの「木枯らし1号」って何でしょうか?
秋が深まって冬の訪れを近く感じだす頃になると、穏やかな陽気が続いている時にも一時的に冬型の西高東低の気圧配置が出現する時があります。
冬型の気圧配置は長続きしませんが、北ないし北西の方向から冷たい風が吹いてきます。
その風が吹くと、紅葉している木々の葉を散らして枯れ木のようにしてしまうため、これを木枯らしと呼んでいます。
木枯らしの中でも、その年初めて太平洋側で秒速8メートル以上の風速が観測されたものを「木枯らし1号」と呼びます。
木枯らし1号が観測されると気象庁から発表されますが、これは、関東地方と近畿地方でのみ行われています。
木枯らしを吹かせた西高東低の気圧配置では、上空の寒気の入り込みが一時的なため、真冬の西高東低の気圧配置ほど寒気が厳しいものにはなりません。
そのため、北海道では雪になりますが、本州の日本海側では雪ではなく、雨が降ります。
また、木枯らしをもたらした西の高気圧は移動性高気圧のため、西高東低の気圧配置が弱まると、日本列島は再び移動性高気圧に覆われ、秋の陽気に戻ります。そして、木枯らしが吹くたびに紅葉が終わっていきます。
この様に、木枯らしが吹いた後、秋の陽気に戻るというサイクルを繰り返しながら、徐々に本格的な冬になっていきます。
本日もご覧いただきありがとうございました。
それではまた、明日の「今日は何の日?」でお会いしましょう。